席まで走ってきたせいなのか、いよいよ始まる!と胸が躍っていた為なのか心臓がドキドキしている。そして出演者が一人二人と舞台に現れる。未だ胸の鼓動が収まらないうちに、[Unnatural City II (2002 Ver.)]が流れ始め【第一部】がスタート! 幻想的な雰囲気が漂いいくらか気分が落ち着いてくる。と、しばらくして舞台の左右から静かに西田社中のみなさんが最前列中央に並び始めた(おやっ!? 揃いの和服姿!……カッコイイ!!)。15名のメンバーが揃うや否や[百禽 Hyakkin]を唄い始め、静かな曲から一転パワフルな民謡コーラスが会場に響きわたる!(この曲は2005年に開催された【愛知万博】の『めざめの方舟』で使われた) 興奮のあまり私は一瞬我を忘れた(これだ! これが聴きたかったんだ!)。私と同じようにこの生歌を聴きたいがためにコンサートにこられた方も多かったのでは? 西田社中の方々も晴れの舞台でとても楽しそう。茂戸藤さんが太鼓を叩く。腕ふっと〜い! 力強く演奏する姿はまるで格闘家のようだ。と、ここで突然横から黒い人影が! 撮影用のカメラクルーがレールに乗って入ってきたのだった。右に左にと移動する。“働く男”な感じで興味が湧き、ついつい目がそちらに行ってしまうのであった(いかん、いかん。今日目の前で起きていることは次の機会があるかわからないのだ。コンサートに集中しないと!・笑)
演奏終了後、川井さんが観客にあいさつする。いつものようにニコニコされているが、久しぶりのコンサートであるし、やはり緊張している……ように私には見えた。
次の曲は[Theme of PATLABOR 2 (Kenji Kawai Ver.)]と[ヘヴィ・アーマー (1999 Ver.)]。これらは名作との誉れも高い劇場版『機動警察パトレイバー』の1・2作目からの選曲で、川井さん自身も思い入れが深いそうだ。さらに[ヘヴィ・アーマー]では曲が使われている場面がスクリーンに映し出され、オープニングシーンを生で再現! 会場にはこの二つの劇場作品で“川井憲次の音楽”に触れたという方も多くいたと思うし、まさにファン感涙の演奏と演出! 前の列の人が曲に合わせて体でリズムを取っている……と、思ったら自分もであった。あまりノリノリだと周りの方に迷惑かもしれない。手を動かすぐらいにしておこう(汗)。
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濃密
拍手の後、ゲストの児島由美さんが紅いドレス姿で登場し、川井さんから紹介をうける。聞けば川井さんとは長年のお知り合いとのことだ。思い出話で盛り上がったりしてなんだかほんわかムード。そして[御先祖様万々歳!]を熱唱。
この後は[天使のキス〜永遠の別れ]、[All the criminals][a battle of witsメドレー〜Seven Swords' Victory]など数々の映画音楽のオンパレード。しかも絶妙に編集された映像付き。これまでたくさんの作品を手がけている川井さんだが、『ガラスの脳』のような純愛映画はめずらしいとのこと。『美しき野獣』では哀愁漂う曲と壮絶なシーンがピッタリはまっていて思わず感情移入! 『墨攻』『セブンソード』は勇壮な曲とスケールの大きなバトルシーンの連続で体が熱くなる! この時川井さんはドラムなど打楽器を担当。外間弓子さんはパーカッションを担当していたかと思えば、シンバルになったりチューブラベルを叩いていたり。コーラスが効いているのもよく感じられた(やっと細かい所を見る余裕が出てきたか)。『美しき野獣』以降は外国映画であり、川井さんが国際的に活躍していることも改めて実感。
8曲目の[陽炎]では川井さんが「30年前に丸井で姉に買ってもらった」というガットギターの演奏を披露。ゆったりした穏やかな音色。これまで聴いている側が圧倒されていた感もあり、ちょっと一息つけた気がする(なんとなくくつろいできてコーヒーでも飲みたいような気分……)。
さてあっという間に【第一部】最後の曲となる。川井さんより西田社中のみなさんが改めて紹介された。川井さんとお仕事をするきっかけとなった『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の時は西田佳づ美さん、伊藤予示子さん、清水多永子さんの3人で収録し、5〜6回ダビングして曲を製作したそうだ。私は最初にこの映画を観て初めてこの民謡コーラスを聴いたときの、新鮮でもあり不思議でもあった感じを今でもよく覚えている。そして近未来を描いたあの映画にとてもよくマッチしていた。今回は15名のメンバーで[謡III -Reincarnation-]を再現。そう、“再現した”という表現が当てはまるように思う。